ペーパーコード張りのシンプルなスツールをご紹介します。
ミニマルスツール

このスツールは極力部材を削減し、座面をペーパーコード張りにしたことで軽量感をだしつつ、とにかくスッキリとした雰囲気を目指しました。
コードの張り方は座っていてもある程度動きのとれる、鹿の子編み(平面張り)にしました。
シンプルながらも決して存在感を失わず、ただ置いてあるだけでも決して邪魔に感じさせないスツールになったと思います。
ダイニングテーブルやデスク、或いは、ピアノやギター演奏などなど、場面を選ばず使って頂きたいスツールです。
ペーパーコードについて
絶妙に柔軟性のあるペーパーコードは程よくシナリがでますので、長時間座っていても木製板座の様に痛くなったりすることなく、疲れも軽減してくれます。
その上使い込むほどにしっくり馴染んできますので、木材同様、経年変化による”育てる楽しみ”が味わえます。
ただしペーパコードは消耗品ですのでいずれ張り替えが必要です。
その寿命は使い方に寄るところで、一般的に10~20年などと言われていますが、椅子の使い方は様々なのではっきりと何年で、とは言えないのは仕方ない所だと思います。
少しづつ緩んできますが、その緩み加減でどこまで使うかのご判断をしていただければ良いと思います。
ペーパーコードは原料が紙とはいえ、思いのほか強度や耐水性があり、通常使っていて切れるということはまず考えにくいです。撥水性もそれなりにあり、もし水分に濡れたとしてもすぐに拭き取り、乾かせばけば目立つシミにもなりません。
尚、当工房で使用するペーパーコードはデンマーク製のもので椅子専用につくられているものです。
これは撚った三本のコードをさらに撚って一本にしてあり、非常に丈夫で編み作業中にも撚りが戻りにくく、*国産品でよく目にする物と比較して優れた素材だと思います。

※国産品でも椅子用のペーパーコードは流通していて十分使えますが、メーカーによりその品質は様々なので注意が必要です。
張り替えはもちろん当工房でも承りますが、フレームは無垢材で長年使える上、メンテナンス性にも優れていますので他店でも張り替えは可能かと思います。(当工房張り替え価格は下記記載)

材料について
今回使った材料は昨今では珍しい「ダオ」。
別称「ニューギニアウォールナット」とも呼ばれるダオは高級材として扱われる「ブラックウォールナット」の代替材とされていた時期もあり、パッと見の印象はそれと似ているものがあります。
しかしよく比べてみればブラックウォールナットよりも黒い縞模様がはっきりしていたり、そもそも表面の質感は全く違います。
それもそのはずでブラックウォールナットはクルミ科、ダオはウルシ科ですので、南洋材特有の交錯木理(かなりクセがある)のある表面がみられたりします。
上品で落ち着きのある雰囲気においてはブラックウォールナットに劣るかも知れませんが、ダオには野性味にあふれる個性的な雰囲気があり、材料としてとても魅力的です。
シンプルでミニマルなフォルムと相反する個性的な材料の組み合わせですので今回のスツールは結果的に絶妙に「丁度良い」雰囲気を醸し出していると思います。
塗装について

こちらはダオの独特な表情を生かす為にクリア色のオイルで仕上げています。
当工房では極力人体に悪影響の出ないよう、植物由来のオイルを選んで使用しています。
ミニマルスツール【MSTD】
サイズ(㎜)
W500×D353(座D280)×H480
重量
約4Kg
材料
ダオの無垢材
ケヤキのミニマルスツール

続いてこちらはケヤキで製作してみました。
ケヤキは一般的に荒々しく豪快な木目の美しさで知られ、骨董家具などでも多く使われていますがそのほとんどは暗めの色で着色されているため、ケヤキ本来の色はあまり知られていないかも知れません。
このスツールはケヤキ材にクリアオイル仕上げのため、意外とさわやかで温かみのある色が楽しめます。
ペーパーコード張りの椅子は硬すぎず、柔らか過ぎずで、状態を動かしやすく、スツールや作業用、食事用にうってつけの素材かと思います。
このデザインはスツールの中でも極めて素朴なスタイルの中国で古くから伝わる腰掛けをモチーフに製作したtypeAスツールからさらにイメージを膨らませ、ペーパーコード仕様にできないか、と発展させたものです。


奥行きはやや狭く、使用場所にも応用の利くスツールです。


ミニマルスツール ケヤキ【MSTK】
サイズ(㎜)
W500×D345(座D290)×H450
重量
約4Kg
材料
ケヤキの無垢材