古いちゃぶ台の塗り替えをしてみました。
天板と幕板をとめているネジはマイナスでした。
ちゃぶ台が大量に普及し始めたのは明治30年代後半(1900年代後半)からのようです。
当時はもちろんこのマイナスのネジですがプラスのネジが日本で普及し始めたのは1950年代中頃です。
プラスねじが普及してもまだ頑固にマイナスネジを使っていた製造所もあるかも知れませんのでこの事だけで断定はできませんが、少なくても60年から70年くらい経っている可能性は十分ありそうです。
おまけに天板は幅の広い杉の一枚板が使われています。近年では希少ですからこのような使われかたはしないでしょう。
大分反りや傷みがみられますが、さすがは無垢材でつくられているので、傷みも含めて経年変化が良い味わいを醸し出しています。
これがもし合板、突き板張りの天板だったら今頃は剥がれまくって、決して”味わい”などと言った表現はできない姿になっていたことでしょう。
というか合板ならとっくに粗大ごみで出されていたことと思います。
無垢材でこそ数十年の月日を持ち主と一緒に過ごせる家具となりうるのです。
ただし、無垢材と言えどもあまり”味わい”とは言いがたいシミがつくことはあります。
この天板にも、かなり染みついた輪染みが残っていました。
今回はこの輪染みを完全に消せないまでも目立たない程度まで削り、仕上げ治すところを目標にします。
ちゃぶ台の再生
いきなり削ってしまう手もありますが、少しでも削り量を少なくしたいので先に剥離剤で塗料を浮かせてそぎ落とし、残った色が落ちるまでサンダーがけします。
こんな感じに剥がしました。
まだうっすらと頑固な輪染みが残っています。厚めにカンナで削れば取れるかも知れませんがもともとの厚さが薄いので加減が必要です。
天板の厚みが薄すぎると最後に幕板側から木ねじでとめるときに、ネジが効かなくなってしまうので、基本的にちゃぶ台の天板の厚さはせいぜい17ミリくらいは欲しいと考えますがこの天板はすでに16ミリしかありません。
あとは部分的にへこまないように気を付けながらもう少しサンダーがけして、そのシミの色が隠れるような着色材を塗り、最後に植物オイル(輪染みの着きにくいオイル)で仕上げました。
天板の塗り替えと同時に脚部分も修繕、補強、再塗装して終了です。
最後に
今回はかなり古いちゃぶ台だったので脚の折りたたみ部分はそれなりにガタ(緩み)が見られました。
この場合、接着材が隙間からだけでは十分に塗布できないので完全にばらして再接着するのが一番ですが、今回は完全にバラすといよいよ部材のホゾ部分などにワレや破損のおそれが考えられたので、可能な限り隙間から接着材塗布をした上でミニビスで目立たない部分に補強をいれました。
最後に長手の突っ張り材の調整も済ませてできあがりです。
約70年(予想)という歴史が生み出したレトロ感を損なわないながらも好ましくない傷みは回復し、再び気持ちよく使える様になったと思います。
サイズは小さめで59cm×46cm×24.5cm。
二人で食事には狭いかも知れませんが一人なら丁度良く、二、三人でお茶するときなんかに持ってこいですが、持ち運びが楽ですからお茶に限らずちょっとした書き物などに、どこでも使えます。
意外とアウトドアに持ち出しても渋いかもしれません。
コメント